2020年 映画・ドラマ

 

見た日付順です

①1917

②ライン・オブ・デューティ(ドラマ)

③ブロードチャーチ(ドラマ)

レ・ミゼラブル

⑤フリーバッグ

⑥ザ・ライダー

⑦ロニートエスティ

⑧悪魔はいつもそこに

⑨シカゴ7裁判

⑩燃ゆる女の肖像

 


①1917

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これ今年の作品だったのか  もう2年くらい前かと思った  思い入れ強すぎて

1917は2回以上見て良さがわかる映画だと思うのよね

細かいところまできっちりぎゅうぎゅう敷き詰められてるから

正直話がわかって余裕がでないとそこまで目がいかないのよ

だから何回でも見た方がいい

見れば見るほど気づくことがあってうれしい

ワンカットというやり方も相まってすごく雑?というか行き当たりばったりで撮られてる印象が最初はあるんだけど、よく見ると全然そうじゃない  そのギャップに気づくとおもしろい

俯瞰したときの構造もずいぶんしっかりした骨だな〜て感じなのに、細部もまたみっちり筋肉、みたいな

骨を作ってるのが監督・脚本家で、筋肉をやっているのが俳優というイメージ

どちらも素晴らしい仕事

立派な身体になっている

 

It says everything without saying anything ← この映画の感想でいちばんわかる〜と思ったやつ

これだけしっかり作ってある映画なのにそれを見せつけないところがすごい

めちゃ考えて頑張って作ってますよ〜感を出さない

わざとらしくなくナチュラルにやるのよ

だからエンタメとして普通におもしろい

なんだろう、そういう制作者側の真面目さ?熱意?頑張り?みたいなものを見てる側に少しでも感じさせてしまうと、その瞬間に浮いてしまう気がするのよね

あー頑張ってんね笑 みたいな

でもそういう余計なことを考える必要がないから、没頭できる

サム・メンデスそういう謎の謙虚さ?がある  これが才能というやつなのかしら

 

あと最近あの映画でゲームっぽさを連想する人が一定数いるらしいというのを聞いてとてもおもしろかった  ちょうどいいタイミングで出てくるボスたち、死体や敵の現れ方、視点の動き方など

そうなってくると、もうどこまで考えて作ってんのかなって感じで宇宙を覗き込んだみたいに足がすくむ

宇宙を覗き込んだことありませんが

サム・メンデスさんよぉ

 

あとこの前人と話してて思ったのだけれど、この映画(この映画に限らないと思いますが)脚本を見てから演技を見ると猛烈におもしろい

表情とか仕草とかもト書きにはわりと細かく書いてあるんだけど、まず書かれていることを実際の顔や身体というキャンバスにどう映しだすか、そして書かれていない余白をどう読みとるか、という俳優たちの選択が見れる

(ネタバレです: これ前にもどこかに書いたけど、例えばスコがブレイクにパンをあげるところ、脚本だとたぶん「パンを半分にする→渡す」になってるけど、実際は「パンを半分にする→自分だけ食べる→それをまた半分にして渡す」をやっている)

この俳優はこの文章からこのキャラクターをこういう人間だと解釈したんだな~っていうのは、脚本という「原文」を見ないと観客にはわからないんだよね

演技というのも一種の翻訳だなと思った

翻訳されたものだけ見ていても翻訳者の意図や解釈ってわからないわけで、原文と訳文を突き合わせて初めてわかる感動がある(特に推しの演技の素晴らしさが浮き上がってきて!) とてもおもしろかった

もう散々語ったと思ってたのにまだ言うこといっぱいあったな  怖~い

 


②ライン・オブ・デューティ(ドラマ)

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見終わりたくなくてシーズン5だけ残してたやつ今年見た

やっぱこれおもしろすぎて、世の中のコンテンツがすべてライン・オブ・デューティかそれ以外か、になってしまうのでできれば見ないほうがいい

脳みそマジでどうなってるんだ

IQ5738394838の人が作ってるとしか思えん

シーズン1がいちばんおもしろくないのよ、なぜならシリーズが進むごとにおもしろさが上がってくから  普通逆だろ  怖いよーーー

はやくシーズン6を見せろ

 


③ブロードチャーチ(ドラマ)

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デヴィッド・テナントオリヴィア・コールマンというだけで見る価値あるけど、これはすごい

クライムサスペンス大好きだけど、今まで見たどの作品とも違う

手に汗握るとかハラハラするとかどんでん返しとかそんなことよりも数倍先をいってる感じ

人の死をおもしろがってない

人間の描き方が冷酷すぎるほど淡々としている

どのキャラクターにも寄り添えるし、誰にも寄り添えない

ちょっと異質

 


レ・ミゼラブル

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これもねーやっぱりずっと心に残ってる  見たの3月やってのに、ずっと考えてる

できたら元気なとき、昼間に見た方がいい

これについて語ろうとすればするほど口が重くなる

何も言えなくなる

何も言えません

 


⑤フリーバッグ

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これ初めて見たときの衝撃、ドキドキをどこにぶつければいいのかわからなくて池袋駅構内を一人ふらふら彷徨った覚えがある

こんなに劇場で笑って泣いたの初めてだった

笑って泣いたと言うと心の中で、みたいに聞こえてしまうが、本当に声を出して(!)笑ったし涙も出た

舞台ってこんなにおもしろいんだ、と思った

飛び出す絵本を初めて見たときみたいな感じ

距離が近いことへの驚き

「なんか嫌なことがあったとして、それをゲラゲラ笑い飛ばしたいし、でも絶望してめそめそ泣いていたい  それってどっちかじゃないといけないと思ってたけど、両立できるのかも  新しいフェミニズム?生き方?が、ひょいと全部を飛び越えて、すぐ近くまで来てくれた感じ  それが嬉しかった!」と自分が書いていてすげーわかるーーーーと思った

今年はわりと「女は愛想よくしろ小奇麗にしろと言われることに対する反抗は、常に仏頂面ですっぴんでいること(だけ)なのか?」といったことを考えていて、それに対するヒントをもらえた気がする

なんだろう、はっきりとわからないけどそんな気がするというだけ

ドラマのほうもめちゃめちゃ良い  とくにシーズン2

これも考えれば考えるほどお?てなるタイプのやつ  終わってほしくなかったよぅ

これが好きな人はsex educationも見てほしいなー

本当はsex edに直接渡したいお金をその方法がないから仕方ないけどネットフリックスに預けるか…という気持ちで毎月課金している

 


⑥ザ・ライダー

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これは…本当に素晴らしい…

すみませんそれ以上の言葉が私にはない

 


⑦ロニートエスティ

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あんまり覚えてないんだけど、よかったということだけ覚えている

女同士の恋愛を描くとき、フェミニズムなしでは語れないわけで、そういう面でも見れてよかった

燃ゆる女の肖像もそう

 


⑧悪魔はいつもそこに

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タイトルがまずいいよね  THE DEVIL ALL THE TIME  ばーん!

これもね〜あくまでエンタメとしてのスリラー?だから素晴らしいのよ

アメリカ文学をやっていて一番の学び、「真面目なことをそのまま言っても誰も聞かない」なんですけど、

言いたいこと(宗教、人間、道徳、その他)があったときに、それをいかに人に聞かせるか、耳を傾けさせるかってのが内容と同じくらい大事なのだ、という

衝撃的な映像ばかりで、気持ちわり〜ぐろ〜と思いながら、なぜそれが必要なのかを考える

何が残るのかを考える

あとハリー・メリング!  最近見て良いなーと思った作品、ぜんぶハリー・メリング出てくる  クイーンズ・ギャンビットとかオールド・ガードとか  ハリー・メリング出てくるともはや安心する 

 


⑨シカゴ7裁判

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不条理のジャブ、不条理のフック、不条理のアッパー

そしてアメリカンアクセントのエディ・レッドメイン

拍手

 


⑩燃ゆる女の肖像

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あ〜これ今年一番かもしれない

見てからもう数週間たったけど、未だにずっと頭の中の少なくとも1%以上を使ってあの場面について考え続けている  これからも考え続けると思う

わたしは異性愛も好きだけど、もうそれは世の中にたくさんあるしたくさん触れてきたから、違うのが見たいんだよね  男同士とか女同士とか、恋愛にならない男女とか、その他その他

最近はcall me by your nameとかゴッズオウンカントリーとかあってそれも良かったけど、私にはこっちの方が刺さった

やっぱフェミニズムだし、私は女だから

あとオルフェウスの解釈の話もね~これは誰かと話したいなとずっと思ってる

ラストシーンもcall me by your nameに近いものがあったな  こんなこと言っていいのかわからないけど  ああいうラストシーンに弱い

とにかくあの強烈な視線と、それを引き金に暗闇で燃える炎のことをずっと考えてる

 

 

入れられなかったけど「はちどり」「リーマン・トリロジー」「エノーラ・ホームズの事件簿」「7500」「ハーレイ・クインの華麗なる逆襲」「女は二度決断する」「バベル」「アイ、トーニャ」「ペルドリックス」「パターソン」も今年見た中でとてもよかったと思いました

 

あと間に合えば「シラノ・ド・ベルジュラック」も「ソング・トゥ・ソング(テレンス・マリック!)」も観に行きたいし、「ブックスマート」も「サウンド・オブ・メタル」も見ないといけない

 

時間がないわけです

 

よー!!!

 

おわり